Release: 2021/06/29 Update: 2021/06/29

【対談】障がいを持つ子どもの子育てについて

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今回は、花城のりひとと同じように子育て真っ最中のお母さんと、那覇市の子育て支援の現状など、いろいろと意見交換をしました。

のりひと:さて今日は、子育ての話題の中でも、障がいを持つ子どもを育てていく親御さんの話を伺いたいということで、Rさん(仮名)をお迎えました。宜しくお願いします。

Rさん:こちらこそ宜しくお願いします。

のりひと:Rさんとは家族ぐるみでのお付き合いをしていて、子ども達の年齢もそれぞれ近いこともあり、頻繁に顔を合わせています。僕にも、ハンデキャップをもつ従兄弟がいて、生まれた時から兄弟のように過ごしてきたので、わりと身近というか、特に特別な感じは無く接してきたんだけど。でも親という立場からはさまざまな課題や苦労があったのだろうと思います。そのへんはいかがですか?

Rさん:私たち家族は、小6と小5の女の子に、小2の男の子、そして現在3歳の末っ子がいます。この末っ子が、生後すぐにダウン症と診断されました。母親である私は、当初はもちろん落ち込みましたが、「この子の人生をサポートするために頑張らなくては!」と気持ちを切り替えて、前向きに捉えました。

のりひと:お姉ちゃんお兄ちゃんたちも、すごく優しいしね。妹のことが大好きで大切な存在なんだよという思いがすごく伝わるよね。僕も赤ちゃんの頃に抱っこしたりしたど、少し照れくさそうというか恥ずかしがる顔がたまらん(笑)

Rさん:そうだね、兄弟が大事にサポートしてくれているのは親としても助かります。

【情報が手に入りにくい】

のりひと:実際に育児をしていく中で、疑問や課題だと思うことってありますか?

Rさん:まず、出産後退院して帰宅して、さあ新生活だ!と思ったときに、障がいを持つ子供の育て方、相談する先などの情報が、全く手元に無くて。初めての育児という気持ちになって一気に不安になりました。極端な話、ミルクの飲ませ方はどうすればいいのか?身の回りの世話は何か特別な配慮が必要なのか?何をどうしていいのか分からない。一気に大海原に放り出されたような感覚に覆われました。

のりひと:え?相談窓口や支援制度などの情報が入手できていなかったの?

Rさん:私の場合は、どこかに連絡を取れば、障がいを持った子どもの育児に関しての相談ができたり、そのあとこんな支援が受けられますよ、とか、その手続きはこうしたらいい等、一括で相談できる窓口があるのかな?と当時市役所や保健所などのサイトを調べてみたけど、そのような情報にアクセスすることが出来なくて。すごく悩みました。もしかしたら今はもう少しわかりやすい案内などもあるかもしれないけど。それで、私はどうしたかというと、たまたま同じダウン症の子育てをしている友人知人が何名かいたので、みんなに連絡をしてアドバイスをもらいました。そこから、次第に同じ障がいをもつ子どもの親御さんのサークルなどに繋がり、何とか情報にアクセスすることが出来るようになりました。

のりひと:そんな負担がかかる事を個人で…

Rさん:そう。私の場合はコミュニティに繋がることが出来たからよかったけど。なかなかそのような支援窓口や相談先に辿り着けないケースもあると聞きます。そっちの方はもっと大変な思いをしていると思います。

Rさん:障がいをもつ子の親御さん同士でよく話するのだけど、小さい頃の子育てには2つの大きな壁があると。1つ目は1歳までの乳児期。2つ目が小学校就学時。

のりひと:なるほど。

Rさん:まず産後6か月間の乳児期は、お母さんも体力回復しながらなので、簡単に外に出て情報を求めることも難しく、でも家にいるばかりでは何も変わらない。「他の子と同じように保育園に通えるのか?」とか、私は育休を取っていたので、「仕事に復帰できるのか」という不安。この時点で何らかのサポート体制に繋がらないと、肉体的にも精神的にも経済的にもかなり負担がかかると思います。実際に動いてみると療育センターを始め、相談支援、訪問サービスやデイサービスなど、利用できる支援が色々ある事が分かりました。ただ、ハンディのある赤ちゃんを抱えた母親や家族だけでは、行政の支援制度や身近に相談できる相手をつくるなどの環境整備に辿り着くのは本当に大変だと感じました。

のりひと:そうだよね。家族だけで、そのような環境をつくるのはなかなか厳しいよね。

Rさん:なので、私の経験からの意見としては、生まれてすぐの時に、できれば病院にいる間に、退院後のサポート体制や支援制度などについての相談窓口などの情報がしっかり手元に届くような仕組みがあれば有難いなと。

【情報の一元化を】

Rさん:あとは、この子は今近所の保育園に通わせているのだけど、この子の障がいの程度や、日々の生活で留意してほしいことなどを保育園に伝える為、私は自作の育児ノートを提出しています。これは生まれてからの乳児期でも感じていたことだけど、行政の窓口や各種支援相談に行くと、かならず同じような問診というかヒアリングを毎回受けます。そのたびに同じことを説明し書いて提出していますが、この部分が何とかなれば有難いですね。例えば、デジタル情報にして、専門部署に一元管理してもらうとか。

のりひと:その情報の一元化集約化はとっても大事だと思う。もちろんセキュリティ管理を万全にしてという前提でだけど、その子の生体情報みたいなものを一元管理して、ライフステージごとの関係先(保育園や学校、役所の福祉課や子育て担当部署など)で共有できる仕組みがあれば、家族の負担も減るし。万が一の病気やけがの時にも、かかりつけ以外の病院でも、診察時の基礎情報として有益だし安心だよね。

Rさん:そう思います。それから、2点目の小学校就学時。これは、私たちも今から経験するのだけど、特別支援学校へ通わせるか、市立の小学校に通わせるか。就学前審査というのがこれからあるのだけど、両親や家族の意向などの聞き取りもあって、今私たちも家族で話し合っている部分です。まずは子ども自身にどのような学校生活を過ごさせたいかという点をメインにしながら、市立の小学校に通わせる場合の学校側への負担と家族が抱える課題(例えば、周りのお友達へのサポートのお願いや学校施設のバリアフリー化、親の付き添い)等が、現実的にクリアできるのかという点を考えながら決めていかないといけなくて。

のりひと:そこは慎重な判断になるよね。2つの壁という話は、ほかでも耳にしたことがあったけど、実際の体験談を聞くと、より一層、課題がクリアになってくると感じます。

【伝えたいこと】

のりひと:最後に、リアルタイムで障がい児の育児をしていく中で、社会や行政に伝えたいことはありますか?

Rさん:今回この対談の話を伺ったときにも主人と話したのだけど、まずはうちの子のケースを通じて、障がい児やその家族のことをもっと知ってもらいたいというのが一番です。私自身も上の子達の育児では全く触れることがなかった世界だったけど、この子を通じて、改めて考える事っていっぱい増えました。だから、世間の皆さんには障がいを持つ子の事、その家族の事をもっと知ってほしいと思いますし、家族内でも、上の子たちに常日頃同じように言い聞かせています。

のりひと:はい。私自身もすごく考えさせられるお話でした。「必要な人に、必要な情報や支援が、必要なタイミングで届く」ということが、いかに大事か。多様性と受容力を持った豊かな社会を築く為にも、Rさんの貴重なご意見を参考にさせていただきます。ありがとうございました。コロナが落ち着いたら、また家族で遊びに行きますね、BBQとかやりたい♪

Rさん:こちらこそありがとうございました。BBQイイね!帰って早速主人にも伝えときますね!

【後日談】

本対談の直後の2021年6月11日。参議院本会議にて「医療的ケア児支援法」が可決成立しました。

この法律は、たんの吸引や人工呼吸器といったケアを日常的に必要とする子どもとその家族への支援を充実させる内容で、学校の設置者に対して「保護者の付き添いがなくても適切な医療的ケアその他を受けられるようにするため、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずるものとする」と定めています。また看護師が不足していることを踏まえ、学校では介護福祉士などでもケアを担えることとしています。

障がいの有無にかかわらず、全ての子ども達がのびのびと安心して過ごせる社会への第一歩として、とても素晴らしい法律ができたと感じました。法律を根拠に、現場で様々な工夫や改善がなされ、さらに多様性が育まれるしなやかで強靭な社会が形成されるために、子育て世代・責任世代の一人としても当事者意識を持って取り組んでいきたいと考えております。

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